ギフト!
side 雅
「あんたさぁ、俺のことナメてんの?」
自分の背中には壁の感触。
目を横に向けると、映るのは彼の手。
正面には、やたらと綺麗な前田 透馬くんの顔があった。
今私はいわゆる、壁ドンをされているのか。
彼に引っ張られて連れてこられたのは、2年6組から少し離れた階段の前。
透馬くんはしばらく歩いた後、ここら辺まで来れば大丈夫か、と呟いたかと思えばいきなり私を壁に押し付けたのだ。
「………」
「なんか言ったら?」
…どうしてこうなったのやら。
私は別に、悪いことをしたつもりはないんだがね。
まあ、ホームルームは妨害したが、
それで怒るのは透馬くんではなく先生ではないだろうか。
……そういえば、あの先生
「…ヅラじゃないかね」
「はぁ!?ちげぇよ、地毛だよ!!」
おっと、どうやら透馬くんは自分に言われたと勘違いしてしまったらしい。
めちゃくちゃ睨まれてしまった。
その赤茶色の日に焼けた髪はどうみてもカツラには見えないが…。
はっはー、最近の若者は早とちりが多くて困ったね。