ギフト!






「…分かったから、んなコワい顔すんなよ」



と言い、素直に私から距離をとる透馬くん。



裕一郎はそれを、ぶ然とした態度で眺めていた。



普段温厚な裕一郎が珍しく、ブチギレ寸前までいっていることが分かる。



彼は透馬くんが立ち去るまで見ているつもりなのか、透馬くんが私からそれなりの距離をとっても黙ったままだった。




それを理解したのか、透馬くんは肩をすくめ




「…せいぜい俺の忠告を聞いて、大人しくしてるこったな」



とだけ言ってから、踵(きびす)を返して去っていった。





「………」



「…裕一郎」



透馬くんが立ち去っても黙ったままな裕一郎に声をかける。



すると、裕一郎は無言で近くに寄ってきて






ぎゅぅっと私を抱きしめた。






「ゆ、ういちろう?」



今までの長いつきあいの中で、小さい頃は抱きつかれることなんてしょっちゅうだったからいいのだが…
中学に上がってからはそんなことはパッタリ無くなったから、どうしていいのか分からない。



分からないから、ひとまず好きにさせておくことにした。






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