ギフト!
しかし私はいつもの無表情を保ったまま答えた。
「あぁ、本当だとも。それに、強いて言うなら、今まさしく君に何かされているのだがね」
同じリズムで、トン、トン、トン、トン、と背中を叩く。
裕一郎はしばらく何を言われているのか分からなかったようだが、意味を察した瞬間にすごい速さで私から離れた。
「あ、っあ、ご、ごごごめんっ、雅ちゃん…!!」
そんなに慌てなくても…
と、内心苦笑気味に彼の顔を見やる。
その顔はおかしいぐらいに真っ赤に染まっていた。
「彼に何かされる前に、君に抱きしめられるとはね。全く、人生何が起きるか分かったもんじゃないよ」
「ご、ごめんって…!」
裕一郎は私に謝りながら俯いた。
真っ赤っかな顔を見られたくないとか、そういう理由だろうか。
つくづくかわいいヤツめ。
私がそう思ったと同時にチャイムがなった。
「……ぁああああっ!!?一限目の授業、コワい先生なんだった!!早く行かなきゃ!!」
裕一郎は焦ったように叫んで私の手を取って走り出す。
走りながら私は、こんな光景朝も見たな…とか呑気に考えていた。