ギフト!
渡瀬はフェンスの扉を開けて、グラウンドの中に入ってきた。
入ってくんな、出てけ、足どけろ。
そんな言葉ばっかりが頭の中をすごい速さで駆け巡る。
顔だけはいつも通り、爽やかな表情のままだが。
そんな俺の気持ちも知らず、ズカズカと俺の方に足を進めてくる渡瀬。
見れば、斜め後ろから畑中が付いてきている。
金魚のフンかよ。
女のケツ追っかけてんじゃねぇ、みっともない。
「…何か用かな?」
あくまで内心を悟られないように聞く。
ここにいるのは俺の本性を知らないヤツばっかりだ。
バレてたまるか。
「何か用、だなんて、ずいぶんつれない言い方をするんだね。もちろん生徒会の勧誘に決まっているじゃないか」
このクソ女…。朝のことで少しはこりたかと思ったのに、全然こりてねぇし。
「それは朝も断ったよね?……出てってくれないかな」
あくまで爽やかな笑顔で、しかし明確に拒絶を示した。
これぐらいでこりる女だとは思わないけど……やらないよりマシだ。
「君がうなずいてくれるならいいがね」
やっぱり意味ねぇか。