ギフト!
「君は「しかしアレだね」……」
俺がしゃべり出したのを見計らったのか、言葉をかぶせてきた。
絶対わざとだ、この野郎。
そんなことを考えながら、渡瀬の次の言葉を待ってみる。
どうせロクな事なんて
「さすがはファイブスギフトと言ったところかい?」
言わないんだろうけどって
「1人だけ練習もせずに棒立ちなんて、いやはや、それだけで技術が身に付くのかね」
予測してたのに。
「天才というのは」
プツンと
静かに、しかしハッキリと、頭の奥で何かがキレた。
もう何も考えられなかった。
目の前が、ヘンな感じ、とてもクリアになる。
うるさい、うざい、うっとうしい。
お前に何が分かるってんだ、なんだよ、なんなんだよ。
「……うるせぇ」
自分の口から、普段の爽やかな演技からは考えられないくらいの低い声が出る。
頭の隅では、ここは学校のグラウンドで、今は部活中で、爽やかなスポーツ少年でいなきゃならないことなんてとっくに理解していた。
でも抑えなんてきかない。
気づけば俺は、ベンチに蹴りをかましていた。