ギフト!
「うっせぇよ…、お前に何が分かる」
ベンチを蹴り倒したことで、グラウンドにいる人間みんなが俺を見ていることがわかる。
今の俺には、そんなことを気にかける余裕なんてないが。
しかし目の前にいる女は微動だにせず、いつもの調子で言った。
「何も分からないが」
「―――……っ」
コイツは人の神経を逆なでする天才か。
渡瀬の言動に、またイライラが募る。
「じゃあいちいち口出しすんじゃねえ!さっさと帰れよ!」
耐えかねて俺は怒鳴った。
だが、やはり渡瀬は動揺なんてするはずもなく、
「ふむ、分からないなら出て行けと言うならば、私は君のことを理解したいのだが」
と言った。
「な、んなんだよ…ッ!!」
理解なんて、できるはずないだろ。
理解なんて―――……。