ギフト!
小さいころ、俺は何も取り柄がない子どもだった。
4つ上の兄が1人いたが、
習い事は兄より長くなんて絶対続かないし、
勉強だって嫌いで兄より頭が悪い。
それこそ運動だって、兄は水泳のジュニア大会で優勝したりしてたのに、俺は全然。
いつも兄に負けていた。
それなのに、かわいいお顔だとか、将来は立派な男前でしょうねとか周りはやたらと俺の容姿を褒めそやす。
嫌だった。
見た目しか褒める所がないのかと、一度叔母に聞いてみたことがあったが、苦笑いで軽くあしらわれたのを覚えている。
兄にとてつもない劣等感を感じていた、小学校三年の時だった。
サッカーに出会ったのは。
兄は水泳の才能があるからと、他の習い事は一切止めて水泳一筋でやっていくらしいことを聞いた直後の話だった。
自分の前に兄が居ないのは初めてだった。
サッカーなら、兄と比べられることはない。
そう思うと心も身体も羽が生えたように軽くなった。