ギフト!





そういう訳で、さっきから私は登校中の生徒を眺めながら彼を待っているのだが……


遅い。


一応待ち合わせはしていたのだが、腕時計をちらりと見ると予定の時間を軽く20分オーバーしている。



そっと溜め息をついた時だった。




「雅ちゃんっ!ごめんね、遅くなって!」




彼が来た。


走って来たのか肩を上下させて顔を真っ赤にしている。


ハアハアと苦しそうに息を漏らす彼は、畑中 裕一郎(はたなか ゆういちろう)。


何度も言うが、私の幼なじみだ。



「あぁ、別に構わないよ」




私はいつもの無表情でそう言った。



「はぁっ、今日っ、目覚ましを、なんで、か、ハァッ、セット、し忘れて!ハァッ!」



「…少し落ち着こうか、裕一郎」




裕一郎は少し……いや、かなりどんくさい。


今朝のように、遅れてはならない用事がある時に限って何かを起こし、遅刻したりするのはよくあることだ。



これは彼と交流を持っている者なら誰でも知っていること。




裕一郎について皆が知っていることと言えばもう一つ………



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