ギフト!
コンコンコン
「はーい、どうぞー」
理事長室の扉をノックすると、なんとも緩い返事が返ってきた。
了承を得たので、失礼しますと言って入る。
理事長は仕事机に肘をついて座り、こちらを退屈そうな目で見ていた。
「あらま雅ちゃん、遅かったわねぇ」
「ええ、すみません。彼に案内を頼んでいたのですが………不祥事がありまして」
自分の斜め後ろに立つ裕一郎をチラッと見ると、バツが悪そうな顔をしていた。
すると理事長は彼の存在に気が付いたのか、ハッとした顔をして
「君…畑中裕一郎くん?」
と、興味深そうに彼の名前を呼んだ。
そしてそれにいち早く反応したのは名前を呼ばれた裕一郎本人だった。
「え…僕のことご存知なんですか?」
「えぇ、当たり前よ!こんなイケメン、名前覚えてない方が不思議だわ!」
そうか、それでか。
理事長は大変面食いであると聞いている。
某事務所のアイドルはもちろんのこと、
街で見かけるイケメンなどにも反応するミーハーなのだとか。
そんな彼女が裕一郎を放っておくはずもなく。