再生ゲーム
再生の朝
 母、朋子と祖父、義三が同じ日に亡くなった。


お祖母ちゃんは暴れ狂い、「義三さんごめんなさい……」としか喋らなくなった。一気にぼけてしまったんだろうか?


地獄を渡り歩いたような一日から、喪が明け、それからは子供が口を出したらいけないような暗い雰囲気が、自宅には漂っていた。


お父さんはお母さんより、お祖父ちゃんを亡くした事を悔やんでいるように見えた。酒の量と涙の数がそう語っていた。


ただそれも経った数年の話だった。


大人に近づくにつれ、隠された暗い霧が、微かだが晴れてくるような気がした。
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