再生ゲーム
「先生、どんなお花が好き?」


「このジュースは健康に凄く良いの。絶対飲んでね!」


「このお菓子は、先生が私を好きになるように魔法をかけてあるの」


――みんな食べて。タベテ、タベテ、タベテ?


部員達の本音を言えば、美人からの差し入れだったら文句を言わず受け取っただろう。


ニキビは赤く、ところどころに膿も出ていた。腫れぼったい一重瞼の細い目を、かえるのように見開き、彼女は部員達に気を使った。


――気を使ってあげている。


彼女はそう思ったのだろう。こちらから見れば、ただの親切の押し売りだった。醜い彼女からの差し入れを、誰もが不気味に思え、遠慮したかった。
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