再生ゲーム
 爽快感に満たされた気持ちで学校へ着くと、職員室前に井上が居ないか気になった。出来れば悪戯だけではなく、待ち伏せなども止めて欲しかった。


――センセイ。マッテタワヨ!


そうは問屋が卸さなかったらしい。あしらう気満々で振り返ったが、明らかに誰かに傷つけられた姿を見た途端、強気には出れなかった。


「お、お前どうしたんだ、その顔!」


井上の片目は眼帯で守られ、もう片方の細い眼からは、涙がうっすらと浮かべられていた。


低い鼻は真っ赤に腫れ上がり、足や手にも紫や赤の痣や、切り傷がいくつもついていた。


――ナンデ、ワタシノキモチヲ、ゼンゼンワカッテクレナイノ?


――センセイダケガ、ワタシノタスケジャナカッタノ?
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