再生ゲーム
「分かったよ……携帯は仕舞うから。あの時って? ほら、どんどん飲んで」


りりかはだいぶ酔っ払ったようだ。手の平が千鳥足のように、オーバーにフラフラと動く。眼も潤み、輝いている。


「あの頃よー、葉月も私も先生のことが大好きだった。でも私は子供だし、先生は結婚もしていたしね。

もちろん諦めた。胸の奥へひっそりと隠して、結局はクラスメイトと付き合ったわけ。あーあ、今ではこんなありさまよー」


「くくくっ、投げやりになるなよ」


「笑わないでよー! もう! でもこうなって分かったわ。先生は奥さんがいたとしても、靡くんだなぁーって」


ワインを空ける為に、ピッチを早めた。りりかの様子を見ながら飲むのも面白い。


「誤解を生むようなことは言うなよな。お前だって綺麗だし、その内に嫌ってほど、出会えるよ」
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