再生ゲーム
「先生、もうちょっと一緒にいたいな……」


腕の中から見上げた顔は、胸がしめつけられるような、魅力的な赤ら顔だった。


この表情はどこかで見たことがある……そうだ。バレンタインチョコを、りりかから受け取った時だ。


あの頃は単純に生徒から貰った物だと気にもしなかったが、あの時もこんな面持ちだった。


「結婚とか、これからとか、関係ない……これは本能なの。一緒にいたい」


あの頃と今、時間はだいぶ流れたはずなのに、なんだか甘く切なくなる。


暖かく、柔らかい身体に意識が飛ぶ。うなじからは女の匂いが香っていた。


こんな彼女を無事に送り帰せるだろうか……もうちょっとだけ、こんな彼女を見ていたかった。
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