再生ゲーム
 慌てて父を追った。靴べらを使い、革靴を履いている父はやっと笑顔を向けてくれた。2人で一緒に家を出るなんて、何年振りだろう。


「ゲーム、行って来るね!」


「ワンワン!」


りんは私達の後姿をそっと見送り、父にいつものキスはしなかった。


「朝、一緒に歩くなんて久しぶりだね。お父さん体調悪いの? 青白いよ。昨日喧嘩したの? 夜、うるさかった」


「サラリーマンは、お昼を過ぎたら復活するから大丈夫って、まだ綾には分からないか……。

夜の喧嘩が聞こえちゃったのか……ごめんな。飲みすぎちゃって怒られちゃったんだ。これからは気をつけるよ」
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