再生ゲーム
「仲直りしたつもりだけどな……お父さんが原因かな。また謝るか」


父は鮪を手に取り、胃袋に流し込んだ。


「学校でも咳き込んでたよ……他に疚しい事があるんじゃないの? やっぱり男とか!」


私も真似をして鮪を掴み、口に入れた。りんがいない。いつもと違う美味しさだった。


「こらこら、またその話か。いないって! りんは俺一筋。疑うのはよしなさい」


「ふーん」


「それより火は気をつけろよ。お父さんは煙草も吸わないし、ガスだな。火の元は確認しないとな。

幸せの為に買ったこの家が、跡形もなく消えたら、お父さん倒れちゃうよ」


本当に幸せなんだろうか? この家の為に犠牲になったものは、なかったんだろうか。
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