再生ゲーム
 たまに手の甲を擦る手が、指文字を書く時もあった。前に触られた時は「す・き」と動かされた。


きっと気のせいだ、大丈夫。まさかこんなに歳の離れた子供を、好きになるはずが無い!


胃液が込み上げてきそうなほど気色の悪い考えは、一ミリも想像はしたくなかった。


しかし動かされる指文字を、感覚で読み取ろうと無意識の内に脳が働く。


その思考を阻止すべく、今度からはすぐにパッと、教卓から離れることを誓った。


「はぁーい! みなさぁーん! 全員返却されたかな?」 
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