再生ゲーム
「あ、ごめん。ゲームも食べたい? ちょっとだけだよ」


プラスチックの蓋を床に置き、牛肉を数枚入れた。玉葱は動物に悪いと聞いていたので、ちゃんと避けておいた。


「馬鹿!」


――え? 


自分が言われたのかとビクついた。気配を消すように、ゆっくりと振り返ると父親は眼光を鋭く、りんを睨んでいた。


母の時は、ぶつかり合いすらなかった。


面倒臭そうに、なにもかも覚悟をしていたかのように逃げていたのに。


「息がぴったりなのは、当たり前だ。上司と部下の立場でお互い苦難を乗り越え、やってきたんだからな!

お前とだって、ちゃんと息が合っていたと思っていたぞ? 違うとでも言うのか? 彼女は職場の仲間……それだけだ。

そんなに取り乱すお前は見たくない。正気に戻ってくれ!」
< 395 / 724 >

この作品をシェア

pagetop