再生ゲーム
「熱い! な、何をするんだ!」


父は慌てて、熱の篭った食べ物を片足を揺らし退けた。


私はその光景に驚愕し、口が開きっぱなしになった


――そこまでやるの?


牛丼はスーツのズボンを汚し、靴下は黄ばんでいる。フローリングの茶色の床には、大量の御飯が逆さに零れ落ちていた。


ゲームだけは香ばしい匂いに、鼻先をピクリと反応し、床のお肉に近寄った。ほぐほぐと次から次へと口に入れている。


後ろ姿のゲームは、尻尾がいつもより沢山振られ、喜びを現していた。


「あ、ゲーム、玉葱は食べちゃ駄目だよ!」


あの女……物に当たる性質なのね。


「りん、落ち着けよ! あまりこの話はしたくなかったが……忘れたい出来事だったし、言う必要は無いと思っていたが仕方がない――」
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