再生ゲーム
 教室の引き戸がガラガラと廊下に響く。先生が現れたようだった。


「並木君! ごめんねー遅くなってしまってぇ! ……ちょっとだけ暗くなってきちゃったかなぁ?」


「……いえ」


教室の扉を閉められるのを確認し、身を潜めた。辺りは暗いので隠れやすい。好都合だった。教室から漏れる明かりが、眩しいくらいだった。


「それじゃあーお待ちかねぇ、説教タイム開始といこうかぁ!」


先生は楽しそうに、教卓で弾んでいた。その度に耳毛が揺れ、こちらにまで臭ってきそうだった。


るいの表情を見ていたら分かる。あんなに近距離だったら、臭くて堪らないに違いない。
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