再生ゲーム
「泣いてるんじゃないわよ! 見っともない! 悔しくないわけ?」


突然聞こえてきた声に、驚いて上半身を起こした。


「これで涙を拭いて」


ハンカチを差し出したのは、立花麻美だった。


「お前……まだいたの……」


向日葵がプリントされている、水色のハンカチを受け取った。少しだけ濡れていて、眼を冷やすのには、丁度良かった。


――見ていたんだろうか?


「手を貸すわ、起き上がれそう?」


「ああ、ありがとう」


麻美の肩を借り、立ち上がった。


――こいつが優しさを振りまくなんて、何か変だな。
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