再生ゲーム
「空が暗いね……まだ痛むでしょ? あの公園で、ゆっくり座って話さない?」


「良いけど、お前んち大丈夫なの?」


辺りは大分暗くなっていた。


人通りも少なく、電柱の明かりがほんのりと灯っているくらいなのに、あの小さな暗い公園を指す麻美は、何を話したいと言うのだろうか?


「家は構わないから言ってるの。秋山んちと同じだよ。帰りを待つ親は、いない……」


いつもと様子が違う立花麻美に、なんとなく帰れなくなった。


「分かったよ。ベンチにでも座ろうか? るいへの愚痴か? 鼻も尻も痛むし、そうだな、休んで行こう」


麻美はなにも言わず、俺の手首を掴んだ。支えるように、ベンチへとリードする。


麻美の人肌に、両親のぬくもりを懐かしく、寂しく感じた。
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