再生ゲーム
 りんは怯えていた。無理もない。学校でも生徒達は、猿田を避けているくらいなんだから。


「りんさんもお酒を飲みましょうよぉ~、僕ぅ、りんさんが物凄くタイプなんですよぉ~」


「さ、猿田さん夫が来ます。座って下さい、分かりましたから……拓也さんが浮気してるって……何のお話ですか?」


嫌々椅子に戻ったりんは、私の顔を目を細め見つめた。なにかを察知したんだろうか。


「あー猿田さん、すみませんね、席を立ってしまって。しかしお酒強いですねー」


フラフラと体を揺らした父が、戻ってきた。


「拓也さん大丈夫ですか? 肩を貸しますよ」


猿田は優しさを見せ、腕を回した。出っ歯と父の鼓膜が近づき、なにやらコソコソと呟いている。


父の表情は、みるみると青ざめた。
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