再生ゲーム
 椅子まで距離があったので、身近なソファーへ、ドサッと父を座らせる。猿田は、ふぅーと大きなため息を吐いた。


「拓也さん、今日はお互い酔っ払いましたねぇ……今日はこれで御暇しましょうか。あっ、でも洗い物をしないと……」


「大丈夫です。拓也さんも、猿田さんも明日もお仕事なので、もうゆっくり体を休めたほうが……綾ちゃん、先生をお送りして」


――なによ! 急に命令系で!


「はぁーい」


従うのは気が進まないが、猿田が何を呟いていたのかが、気になった。


「先生、玄関まで一緒に行こう。酔っ払いすぎだよ」


「ああ、そうか? ふふふっ」


私は猿田の鞄を持ち、玄関へと導いた。先生は酒に飲まれることはなく、しっかりと歩いていた。
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