再生ゲーム
「ああ……ちょっと飲みすぎたな。お風呂でも入ってくる。綾も、寝る準備しておけよ。ゲームも静かに寝てるしな」


父は我に返り、最後の力を振り絞るように立ち上がった。フラフラと浴室のほうへ向かう。


私はその言葉でゲームを見た。小さくなって、端っこのほうに気配を消して寝ている。


――私のせいだ。そう思った。


「ゲーム、ここで寝る? 部屋へ行こう、ほら、じっとして」


2キロ弱しかない軽いゲームを胸に抱えた。


「綾ちゃん……なんで先生なんかを呼んだの? 貴方にとって友達じゃないはずよね? なんのため?」


じっと停止していた体が、ゆっくりと振り返った。その表情は鬼のように、敵意がむき出しだった。
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