再生ゲーム
「ファン? 一体なんの話をしているの??」


「またぁー惚けちゃって……りんさんでしょ?」


男の眼は疑いもせず、純粋に問いかけていた。


でも私はこの人を知らない。


でも――なぜ名前を?


「2度と話しかけないで!」


男は悲しい顔でじっとしていたが、踵を返し見てみぬ振りをした。


訳の分からない人間に、急に自分の名を呼ばれる。それはとてつもなく恐ろしいことでもあった。


頭を整理したい。


記憶の糸を過去へと辿る。


もしかしたら、一度会った事ある人間なのかもしれない――。


でも、どう考えてもその糸には辿りはつかなかった。
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