再生ゲーム
「呼び止めちゃって、ごめんな。いってらっしゃい……」


――聡子のお父さんって、ちょっと気持ちが悪いかも。気にしすぎでしょ。ひょっとすると本当に浮気しているの? いや、有り得ないよね。りんは異常なほど、お父さんに一途だもん。それにしても、このまま猿田が訪問を続けたら、一体りんはどうするんだろう? 本性が出たりして……。


「おはよう綾」


「え、どうしたの?」


声に振り返ると、家の方向が全く違う、秋山が背後を歩いていた。


「ん? ああ、俺なりに反省したんだよ。謝ろうと思って……今まで本当にごめん。悪さばっかりしちゃってさ、馬鹿だったよ」


――嘘、あの秋山君が謝った……うん、素直に嬉しいよ! え、本当にー!? 


秋山の思いがけない言葉に、思わず顔がほころんだ。


「その、今までのことは……許してくれるかな?」


「勿論だよ! これからも宜しく。卒業まで後少しなんだし、仲良くしようね」


握手をしようと手の平を差し出したが、秋山は両手をポケットに突っ込み、もぞもぞと動かしていた。


「なんだか照れるな。ごめん、俺、先にもう行くね」


「……うん」


不自然に手を突っ込んだまま、学校へと走り去った。


変な秋山君……しかしハッピー! 猿田効果って本当に偉大なんだね。これからは学校が楽しくなりそう。もう虐められないんだ! やったー!
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