再生ゲーム
「どうしたんだい? 仲間にはなんでも報告するもんだよ」


その言葉で迷いが解け、ゆっくりと口を開いた。


「……りん、先生に家に来て欲しくないって。掻き乱されたくないってさ」


嫌な顔をするんじゃないかと、表情を確かめたが、裏腹に口角が上がっていた。


「綾、それはどういう意味か分かるかい? つまり、僕のことを考えると心を掻き乱されるほど、愛おしいという意味だよ。作戦は、ちゃくちゃくと良い方向へと進んでいる。君達が僕のモノになるのも、もうすぐだな」


なんだか背筋が寒くなった。


「それと綾、君はブログを書いているだろう?」


――え? りんのブログのこと?


「何を口をモゴモゴしているんだい? 猿田先生にはなんでもお見通しだよ。だが少し、可哀想な状況に陥ってるみたいだね?」


「先生、全部見たの? 良く分かったね。ブログは炎上しちゃったよ、どうしようかなぁって思ってたの」


猿田は、うんうんと頷いた。


「あのブログのお陰で、一つ、情報が確かなものになったよ。りんの口元の黒子と話し方といい、追っていた件があったんだ。さぁ、もう行こうか。授業の準備をしないと」


猿田は、そう言うとサッサと歩き出した。


「ちょっと待ってよ、ブログはまだ全部読んでないの。分かった情報って何?」


追いかけようとすると、後ろからドスの聞いた声が、私に降り注いだ。


「ここにいたのか綾、やっと見つけたぞ! 聞いたぞテメー! 知らない素振りして、本当はお前が盗んだんだってな? 出せよ、私の形見のサファイヤを!」
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