再生ゲーム
「こいつ痴漢よ。私の胸を触ったの。このお店はどうなってるの? 貴方達、この男をちゃんと教育して頂戴な! もうこれ以上、このハゲ頭を見たくないから私は行くわ。しっかり、この下品な犬を躾けておいて下さらない? ではごきげんよう」


「て、店長! 痴漢したんですか!?」


「そんなはずないだろ!? は、放せ! なにをする!!!!」


駆けつけた人間は、KEIの両脇に手を入れ、引っ張ろうとしている。踵を返し、もう一度KEIに見えるように、ボイスレコーダーを左右に振り、ちらつかせた。


――ざまーみなさい。


腹も腸もよじれそうに、可笑しくて仕方がないわ!!!!


「あははははは!!!! ・・・・・・はははっ・・・・・・はぁはぁ」


道を歩く人達が、こちらをチラリと見ていた。


おっと、いけない。


スーパーの外へ出たとはいえ、誰が見てるか分からないのだから。


「笑ったら、お腹が空いたわ。あの店で時間を潰しましょう」


――そうね。あの男の言う通りなのかも知れないわね。八つ当たり……綾と比較をしたのならば、所詮貴方はただの鬱憤晴らしよね。


綾を追い詰めたい。結局は、あの憎たらしい奥さんの子でもある。


馬が合わないのよ。
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