再生ゲーム
 ただじゃすまない空気を出す人形。すぐに元の位置へと戻した。


どういうことなのかしら? 好きだけど、その反面憎らしい。めちゃくちゃにしたいってとこ――セクシャルな部分に傷をつけたのも頷ける。この辺が妥当かしら?


ドアが開き、また咳き込むそぶりを繰り返した。


「大丈夫りんさん? 風邪でも引いたのかな?」


差し出されたコップを受け取った。グラスに沢山の水滴が付着している。慌てていたんだね。


「大丈夫、喉がイガイガしていただけ」


るいは、ホッっと息を洩らし、天使のような笑顔を作った。


本当に不思議な子。


その綺麗な顔立ちで、悪の行為もすんなりと隠してしまう。まるで全部無かったみたいに。


「で、どうしたの?」


「あっ……そうそう。愚痴だと思って聞いて頂戴ね? 拓也さん、夫のことなんだけど、綾ちゃんと仲が良くてオバサン蚊帳の外なの。寂しくって……それだけじゃなく、綾ちゃんオバサンを虐めるのよ」


「まさか! 綾がそんなことするはずがないよ!」


るいは信じられないという顔をし、素っ頓狂な声を上げた。


「綾ちゃん学校で虐められてなかった? その憂さ晴らしで私に強く当たるの……思い当たる節はない?」


るいは考え込んだ。虐められていたのを知らない訳がない。


「――綾がねぇ。でも、それと僕と、どういう関係があるんですか?」
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