再生ゲーム
「私が夫と二人だけの世界に浸りたいように、貴方も綾ちゃんと二人だけの世界を作りたくない? るい君、綾ちゃんのことを好きなんだよね?」


「……好きだけど、綾の気持ちが分からないんだ」


重い口が開き、るいは落ち込むように、水色のカーペットに視線を落とした。


だがその天使の横顔は、怒りを隠すように、コメカミがひくついている。


手に入らないことで、好意は私憤に変化を遂げようとしてる……そういうことか。お父さんが貴方を力ずくでモノにしたように、貴方もモノにしたいのね? その重い口、パンドラの箱じゃあるまいし、さっさと鍵を開けなさいよ。私の美しい天使のような駒。貴方はもう私の手中。


「大丈夫、るい君。そんな暗い顔をしちゃ駄目よー? 折角の美貌が台無しだよ……オバサンが協力するから、間違いなく綾ちゃんは貴方のモノになるわ」


「それは嬉しい話だけど、そんな簡単にはいかないよ」


歯軋りをする、るい。もっともっと感情を表しちゃいなさいよ。


「ねぇ、そんなにモタモタしていると、綾ちゃんを取られちゃうよ? こんなふうに」


るいの腕を唐突に引っ張り、私の腕の中へ誘導した。そっと背中に手を回し、鼓膜に唇を近づける。


「綾ちゃんが、こんな風に誰かと愛を確かめ合う。許せないわよね?」


そっと、るいの耳に生暖かい吐息を送り込んだ。
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