再生ゲーム
「綾、ドアを開けてくれない? 両手がトレーで塞がってるんだ。お菓子とオレンジジュースを持ってきたよ」


真ん中のドアがギィーと開いた。


「どうぞ、こっちだよ」


「ありがとう」


部屋に入るとキチンと片付けられているデスク、1からちゃんと番号順に並び整頓されている本棚、ベットの上のピンクの布団、テディベア。綾の象徴のような部屋だった。


「そんなにジロジロ見ないでよ」


「ごめん。トレー、机の上に置くね。女の子らしい部屋で可愛いよ」


「ワンワン!!!! ワンワン!!!!」


子犬が真ん丸の瞳で、僕に尻尾を振る。


――犬には気に入られたのか。
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