再生ゲーム
「お母さん、聡子さんもお腹が空いている頃でしょう。お父さんも亡くなって、とても寂しい状態のはず。ここはご自宅に帰られたほうが……」


拓也さん、りんさん、聡子の母親。睨み合う三角関係に、仲裁に入る猿田。


僕と綾は事の成り行きを見守るしかなかった。


「先生ごめんなさい。黙っていて貰えますか? 何も知らないでしょう? 部外者は黙ってて!!!!

……私は家の夫と、この女の関係を疑っていました。それが今日現実のモノとなり、目の前に叩きつけられました――

私達夫婦は、いつしかこの女のせいで口論が続く日々を送っていた。

何も無いという夫の言葉。最後まで……本当に最後まで信じたかった。

疑う気持ちはあったけれど、最後の垣根は越えず、心の一番隅のほうがまだ信じていたのに、それが壊された気持ち……先生、分かりますか?」
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