再生ゲーム
溢れ出す雫が、聡子の母親の立つ足元を濡らした。涙で曇らす真実の眼は、嘘を吐いてるようには思えなかった。


「こんなことになるなら、ちゃんと向き合っておけば良かった……

喧嘩したまま、まさかあの人があの世に逝ってしまうなんて――

どんな気持ちで旅立ったんでしょう? 悔やんでも、悔やみきれないんです。

刺殺された夫の遺体からは、携帯電話が発見されました。警察から問い質された疑問符。

このメールの主は誰か……

りんさん、何か知っているのなら教えて欲しいの!!!! 

それとも貴方が殺したの? 何で? 何故なのよ? 教えなさいよ!!!!」


体中から振り絞られる切れ切れの声。怒りの熱気がリビングに響いた。
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