再生ゲーム
「いつもと同じだよ……昨日あれからどうしたの? りんさんは大丈夫なの?」


綾は席に座り、1時間目の準備をしているようだった。


右手のポケットをそっと押さえる。


左のポケットには小型カメラ。右にはサファイヤのネックレス。時限爆弾を抱えている状態だった。羽目をはずせば、爆発する……


死体が転がるのは確かに綾の周り。


でも僕は――


「泣きじゃくるだけよ。知らない、部屋に居たから……私はりんさんより、お父さんが可哀相としか思えないから」


その悲しげな目も、艶やかな黒髪も、太陽が照らす白い透明感のある肌も……やっぱり、どうしようもなく手に入れたかった。
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