再生ゲーム
 猿田はりんの屈辱に、思わず両耳を塞いだ。抑えた手の平からは耳毛が飛び出している。


「君は心が腐ってしまったんだ。そうだ……そうに違いない。幸運のシンボルを馬鹿にするなんて――」


「は? そう思っているのは貴方だけよ。そんなゴミのような毛が幸運の印なんて、とんだお笑い草ね」


猿田のかさついた肌に青筋が立つ。眼を見開き、赤く血の色が浮かび上がる。


――プライドだけで生きてきた先生だ。絶対に許せないはずよ!


「先生! あの女を自分のモノにし、奪い去ってよ! 風俗で働く女が私の母親なんて、絶対に認めない!」


我に返るように猿田は、両耳からそっと両手を離し、りんを見据えた。
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