再生ゲーム
 教室に入ると、一瞬だけ時間が止まったように静寂になる。私へ向けられる、生徒全員からの視線の時間。


――恐怖の一歩。


いつもこの一歩が中々踏み出せない。体と心が別々になったように、本当は帰りたいと叫んでいる。


でも体は帰る訳には行かないと、足をじりじりと進める。今回も一番後ろの同じ席で良かった。


これが一番前の席だったら、背後からの目線ばかりを気にして、気絶しそうだ。


もしも教卓の前だったら……それは一年耐えられるかどうかの地獄の日々だっただろう。
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