妖怪100%
出幻
晴れのち曇り
今日はかなり運がいい。
奏多はそう感じていた。
登校途中、500円玉を拾った。もちろん警察に届けたが、500円玉一枚なら落とし主からも届けは出ないということで自分のものになった。
学校に着き下足箱を開くと一通の手紙が入ってる。。まさかラブレターか?便箋入れの色などからして女の子からの手紙らしい。16年間の中で初めての女の子からの手紙なんだよね。だが肝心の名前は、書かれていなかった。本文に書いているのだろうか。
また古典の抜き打ちテストの結果が意外にも良かった。
些細なことではあるかもしれないが、奏多は嬉しく楽しかった。まるで今日の晴れ晴れとした天気のようだ。
そして体育の授業。
奏多は卓球で一進一退の攻防を繰り広げていた。
相手は文武両道の宮内。
宮内は体育全般に優秀で、高校入学以来一度も競技で負けたことがない。卓球もその例外ではない。
そんな宮内と一進一退のゲームを繰り広げている。しかも1点リードしている。
次第に奏多と宮内のゲームに注目が集まっていく。だが宮内のクラスメイトはあまり興味がないのか、宮内と仲が良いクラスメイトを除くと極僅かしかいない。
善戦が続く。
宮内が追いつき、得点は同点になった。
あと1点先取したほうが勝ちだ。
両者とも真剣な面持ちになる。
しかし、なぜか宮内の仲間が自分をじーっと見ている。
宮内も真剣だからだろうが、時折眉間にシワをよせ自分を見てくる。それは睨んでいるようにも見えた。
最後のゲームが始まった。
鋭い打ち込みもお互い尽く打ち返していく。
例え負けても悔いはないが、ここまで来たら勝利を収めたいものだ。
"今日のぼくは運がついてるっ!!!"
奏多がそう思った瞬間
"ヤ、ヤベッ"
突然鼻がムズムズしてきた。肝心な時に限ってこのような現象に襲われる、運がつきたのか。
ックシュンッ!!!!
宮内が打ち返してきたのと同時にくしゃみが出てしまった。
しかし偶然にもラケットに球があたり、またくしゃみの勢いを借りて強く打ち返せた。それはスマッシュ級の打ち返しだったといってもよかった。
宮内は打ち返すことができず、ゲームは奏多の勝利に終わった。
「奏多、やったな!」
友人達が言ってきた。
奏多は宮内の不戦神話を初めて破ったわけだ。観戦してた者は、奏多を称賛した。
「宮内、いい戦いだったな!!」
奏多は善戦を繰り広げてきた宮内に敬意を込めて言った。
宮内はふて腐れたような感じで、皆に聞こえるくらい大きな溜め息をついて出て行った。それに続き宮内の仲間も出ていった。
初敗戦の為気持ちの整理ができてないのだろうと奏多は思った。
「宮内はプライドが異常に高いんだ。何においても一番じゃないと気が済まないみたいなんだ。」
と宮内のクラスメイトが言った。
宮内は旧家の出身で、文武両道である。それなりにイケメンでもある。実力は確かにあるのだが、異常なプライドの高さから頂点を決して譲らないのだという。地位が脅かされると、宮内は威嚇や脅しを行い地位を死守するのだという。
「だから実はわざと負けていた時もある」
のだと言う。宮内は評判が悪いらしい。
「へぇ、そうなの…」
奏多は半信半疑でそれを聞いた。宮内とはクラスも違うし、今日が初対面だった。話だけでは宮内の人柄を判断しきれなかった。
体育が終わり、体育館から校舎へと続く渡り廊下で奏多は宮内と偶然出会った。
距離を置いて、宮内は顔をやや上に向け目を見開いて奏多を凝視してきた。眉間にシワはなく、全くの無表情だった。雲が太陽を遮り、宮内の顔がどす黒く見えた。
奏多は嫌な感じを覚え、足早に立ち去っていった。
奏多はそう感じていた。
登校途中、500円玉を拾った。もちろん警察に届けたが、500円玉一枚なら落とし主からも届けは出ないということで自分のものになった。
学校に着き下足箱を開くと一通の手紙が入ってる。。まさかラブレターか?便箋入れの色などからして女の子からの手紙らしい。16年間の中で初めての女の子からの手紙なんだよね。だが肝心の名前は、書かれていなかった。本文に書いているのだろうか。
また古典の抜き打ちテストの結果が意外にも良かった。
些細なことではあるかもしれないが、奏多は嬉しく楽しかった。まるで今日の晴れ晴れとした天気のようだ。
そして体育の授業。
奏多は卓球で一進一退の攻防を繰り広げていた。
相手は文武両道の宮内。
宮内は体育全般に優秀で、高校入学以来一度も競技で負けたことがない。卓球もその例外ではない。
そんな宮内と一進一退のゲームを繰り広げている。しかも1点リードしている。
次第に奏多と宮内のゲームに注目が集まっていく。だが宮内のクラスメイトはあまり興味がないのか、宮内と仲が良いクラスメイトを除くと極僅かしかいない。
善戦が続く。
宮内が追いつき、得点は同点になった。
あと1点先取したほうが勝ちだ。
両者とも真剣な面持ちになる。
しかし、なぜか宮内の仲間が自分をじーっと見ている。
宮内も真剣だからだろうが、時折眉間にシワをよせ自分を見てくる。それは睨んでいるようにも見えた。
最後のゲームが始まった。
鋭い打ち込みもお互い尽く打ち返していく。
例え負けても悔いはないが、ここまで来たら勝利を収めたいものだ。
"今日のぼくは運がついてるっ!!!"
奏多がそう思った瞬間
"ヤ、ヤベッ"
突然鼻がムズムズしてきた。肝心な時に限ってこのような現象に襲われる、運がつきたのか。
ックシュンッ!!!!
宮内が打ち返してきたのと同時にくしゃみが出てしまった。
しかし偶然にもラケットに球があたり、またくしゃみの勢いを借りて強く打ち返せた。それはスマッシュ級の打ち返しだったといってもよかった。
宮内は打ち返すことができず、ゲームは奏多の勝利に終わった。
「奏多、やったな!」
友人達が言ってきた。
奏多は宮内の不戦神話を初めて破ったわけだ。観戦してた者は、奏多を称賛した。
「宮内、いい戦いだったな!!」
奏多は善戦を繰り広げてきた宮内に敬意を込めて言った。
宮内はふて腐れたような感じで、皆に聞こえるくらい大きな溜め息をついて出て行った。それに続き宮内の仲間も出ていった。
初敗戦の為気持ちの整理ができてないのだろうと奏多は思った。
「宮内はプライドが異常に高いんだ。何においても一番じゃないと気が済まないみたいなんだ。」
と宮内のクラスメイトが言った。
宮内は旧家の出身で、文武両道である。それなりにイケメンでもある。実力は確かにあるのだが、異常なプライドの高さから頂点を決して譲らないのだという。地位が脅かされると、宮内は威嚇や脅しを行い地位を死守するのだという。
「だから実はわざと負けていた時もある」
のだと言う。宮内は評判が悪いらしい。
「へぇ、そうなの…」
奏多は半信半疑でそれを聞いた。宮内とはクラスも違うし、今日が初対面だった。話だけでは宮内の人柄を判断しきれなかった。
体育が終わり、体育館から校舎へと続く渡り廊下で奏多は宮内と偶然出会った。
距離を置いて、宮内は顔をやや上に向け目を見開いて奏多を凝視してきた。眉間にシワはなく、全くの無表情だった。雲が太陽を遮り、宮内の顔がどす黒く見えた。
奏多は嫌な感じを覚え、足早に立ち去っていった。