ブラッディ・ラブ


*****


1ヶ月、結局俺はクレハの部屋で過ごした。


彼女は小さい頃に両親を亡くしていて、ずっとひとりだったらしい。


俺に襲われたと思った時笑っていたのも、「つらい時こそ笑ってなさい」という母の言葉が強く頭に残っていたからだと言う。



まるで普通の恋人のように過ごす1ヶ月はとても満たされていて、そして幸せだった。



できることなら、このままここでクレハと一緒にいたいと、本気でそう思った。



……だが、クレハひとりから摂取できる血の量だけでは、生きていくのは難しかった。



目に見えて痩せていく俺に、クレハは何度も謝ってきた。


何もできなくてごめんと。


そのたびに俺は、クレハがいなかったら自分はとっくに死んでいた、と笑う。




「あたしも、黎と一緒に行きたい」



涙を浮かべて、俺が故郷に帰る前日、そう言った。


俺だって、そうしたい。



……だけど、人間を故郷には連れて帰れない。

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