ブラッディ・ラブ

「……お前は」


「あたし?あたしはクレハ!松沢紅羽(まつざわ くれは)っていいます!……っていうか、あたしのことよりあなたは何者?怪しい人だったら警察呼ばなきゃ」


あははと笑いながらそういうクレハと名乗った少女。



「……黎」


「レイ?それがあなたの名前なの?」



無邪気に首を傾げる少女に、頷いた。


すると、彼女は嬉しそうに笑う。



「綺麗な名前!見た目とぴったりだね」



そう言って、小さく首を傾げる彼女は、大人になりかけの年齢に見えた。


ヴァンパイアの年齢と人間のそれではかなりの差があるから何とも言えないが。


だが、無邪気さのなかでも長い髪の隙間からのぞく首筋からはヴァンパイアの好む香りがする。



……子どもではない、証拠だ。



俺を運ぶために雨に打たれたのか、しっとりと髪は水分を含んでおり、その肌も同様だった。


濡れた肌はその香りを増長させる。


今の自分には、毒にすら感じられるくらい、魅惑的な香りだった。


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