手をつなごう


「ハルさん。お久し振りです。」


ペコリと頭を下げる。

「元気?隣、いいかな?」


ハルの問い掛けに、椿は気付かれない様に唇を噛んだ。


「元気だよ。そんな所につったってないで、座ったらどうぞ・・・」


椿は、精一杯の笑顔を見せる。


ゆっくりと掛けたハルに、陽太はオシボリとメニューを差し出した。


ハルは、椿が本気で愛した男だった。


陽太が、二人の雰囲気の変わりように動揺したのは言うまでもない。


以前の二人は、陽太が憧れるくらいに仲の良い恋人同士だったからだ・・・。



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