手をつなごう


「久し振り。なかなか逢えなかったね。」


ハルに見せる、精一杯の笑顔。


ゆっくりハルの向かいの席に座る。


「ご注文は?」


「カフェオレを下さい。」


「かしこまりました。」


黙って椿を見つめるハル。


じわっと目頭が熱くなるのを、椿は感じる。

あれだけ激しく降っていた雨の音が、届かなくなっていく。


椿は、そっと窓の外に目をやる。




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