手をつなごう


「ゆっくり休んで下さい。河内さんには、僕から伝えてますから。」


帰りのタクシーまで椿を見送る陽太は、そう告げた。


「陽太・・・さっきは、ごめんね・・・そして、今日はありがとう・・・」


椿の言葉に、陽太は照れたのか頬をポリポリと掻いた。


「また、元気になって戻って来て下さい。今日、休みの奴等だって椿さんに会いたがってますから。」


椿が頷いて、タクシーを出そうとすると、陽太は笑顔で離れる。


「椿さん!!今度、飯行きましょうね!!」

椿は、笑顔で頷いて手を振った。


ゆっくりとタクシーは走り出した。


陽太は、頭を下げながら見送っていた。


いつの間にか、暗く澱んでいた空に、キラキラと星が輝いていた。



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