手をつなごう
「陽太・・・ここって・・・」
「河川敷ですよ。」
ニッと笑うと、野球のユニフォームを着た少年達の元へ駆けていく。
「あっ!!ようただぁー。遅いぞー、ようたぁー。」
「女の人も一緒にいるぞ!!ようたの女か?」
「昨日言ってた、連れてきたい人じゃねーか?」
「彼女かな?」
「ようたの片思いだろ!!キシシッ」
「カイショナシだもんなぁ~。俺達、結構心配してやってるもんなぁ~。」
こらこら。少年達。声が聞こえてるゾ。少年達にとっては、陽太はいじりがいがあるって感じなんだ。
少年達は、固まってボソボソと話しているつもりらしいが、椿の所まで丸聞こえである。
陽太の耳が、だんだんと赤くなっているのが椿にも見える。
「おっ・・・お前等なぁ~」
「みんな、逃げろー!!!」
声を合図に、グラウンドを蜘蛛の子を散らした様に、少年達は逃げる。
それを追い掛ける陽太は、ピッチャーマウンドで足が縺れて、派手に転んだ。
みんなが大爆笑したのは、いうまでもない。