手をつなごう

「みんな、ありがとうね。」


子供達の笑顔は、とても優しかった。


「どっか、痛い?」


不安気にカナが覗き込む。


「大丈夫。陽太に泣かされちゃった。」


いたずらっぽく笑うと、少年達の目が一斉に陽太へと向く。


「・・えっ?!・・ちょっ、ちょっと椿さん??」


ジリジリと後退りを始めた陽太を、ハヤト達が追い詰める。


『ようたぁ~』


「ちょっ、俺、何もして・・!!」


『まぁてぇ~』


陽太が背を向けた瞬間、少年達は追い掛け出した。


「椿さん!!!俺、何もしてないじゃないっすかぁ~」


陽太は一生懸命、追い縋ってくる少年から逃げている。


その光景を椿は、カナの小さな手から伝わる温もりを感じながら、眺めていた。




少年達が椿の元に戻る頃には、グラウンドの真ん中で埃まみれの陽太の姿があった。




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