手をつなごう


「うーん・・・」


椿は、いつもの様にカウンターに座り、目の前にはモスコミュールが置いてある。


いつもとひとつ違うのは、モスコミュールが減っていない事だけだった。


グラスに付いた雫が、線を作りコースターへと滲む。


「・・・ん!・・・さん!!・・・ばきさん!!椿さん!!・」


「えっ?!・・あっ!!ごめん、何?」


「何?っじゃないですよ!!さっきから呼んでるのに、全然気付いてくれないし!!あと、眉間にシワ!!それに、モスコ薄まり過ぎですから!!」


陽太は暫く椿を呼んでいたが、気付いてくれない事に口を尖らせた。


「あっ!!ごめん!!ちょっと考え事。」


椿の答えに、今度は陽太の眉間にシワが寄る。


「椿!!遅くなってわりぃ。」


息を切らせながら、椿の隣に座った。


圭一だった。





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