トイレキッス


仁さんと洋平は、何も言わずにそれを見つめた。


しばらくすると、仁さんは、ぼうぜんとする洋平にむかって、


「帰ろか」


とつぶやいた。洋平はぼうぜんとしたまま、うなずいた。


部屋を出る前に、仁さんはこう言い残した。


「おれは、退部を取り消せとか、早よ学校に来いとか、そんなことは言わん」ため息をつく。「ただ、頼むけん、いつもの淵上にもどってくれ」




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