トイレキッス


「え?」


ミツキはもう一度涙をふいてくりかえした。


「わたし、あきらめんかった。地面に顔たたきつけられたけど、あきらめんかった。首しめられたけど、あきらめんかった。噛みつかれたけど、あきらめんかった。手首がごきって変な音したけど、あきらめんかった。怖かったけど、めっちゃ怖かったけど、絶対にあきらめんかった」


「じゃあ」


「そう」ミツキは泣きながら笑った。「わたしが勝ったってこと」


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