トイレキッス
洋平が演劇部にはいってから、二週間が過ぎた。
部員達とはだいぶ親しくなってきた。
とくに先輩の三田村とは気が合い、一週間でエロ本を貸し借りするほどの仲になった。
これは男子にとって、かなりの信頼関係がないとできないことだ。
十月の終わりの休日に、三田村の家に遊びに行った。
三田村の家は魚屋だった。
二階にある彼の部屋の本棚には、大量のエロ本が堂々とならんでいた。
「すごいですねえ」
「ほうか?おまえだってこういう本の一冊や二冊は持っとろうが」
「おれはせいぜい十冊くらいですよ。それに、ちゃんと隠してます。先輩、こんなもん丸出しにして、親には何も言われんのですか?」
「うちは性に関してはオープン主義なんよ。法律守って十八歳になってから、いきなりそうゆうこと知るよりも、ガキのうちに早めに学んで免疫つけといたほうがいいって教育方針やねんな。だから、飯食いながらAV見てても、何も言われへん」
「うはあ」
うらやましいような、うらやましくないような、いや、やはりうらやましくないと思った。こういうものは、隠れて見るからこそ楽しいものなのだ。
夕方になり、洋平は三田村から、「美少女園獄」というエロ本を借りて帰宅した。