トイレキッス
少女は缶コーヒーを素早く一口飲むと、ありがと、とつぶやいて洋平に返した。
「もっと飲んでもええよ」
洋平が言うと、少女は首を横にふった。
「やめとくわ。あんまり飲むと、本番中におなか壊すかもしれんけん」
「本番中?」
「そう、本番中・・・・・・」
急に少女は黙りこんだ。
そして突然大声をあげるて立ち上がり、洋平に飛びつくと、あわてた口調で聞いた。
「い、いま何時!?いま何時いま何時いま何時いま何時いま何時っ!?」
「な、何ぞ、いきなり?」
「ええから教えてや!いま何時っ!?」
洋平は腕時計を見た。
「十二時半」
少女は再びぺたんと座りこんだ。そして、ゆっくとため息をつく。
「間に合ったあ・・・・・・」